元自衛官キャリアインタビュー Vol.15
プロフィール
堀田 貢司さん
現職:総合系コンサルファーム ビジネスコンサルタント
自衛隊在職時最終役職:陸上自衛隊2等陸尉
経歴
ーー本日はお忙しい中、退職予定自衛官、元自衛官のキャリアを考えるインタビューにご対応いただきありがとうございます。まず、堀田さんの経歴を教えていただけますか。
堀田さん:略歴は、下記の通りです。
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➤2016年防衛大学校(60期)卒業
➤陸上自衛隊幹部候補生学校 卒業(配属は化学科)
➤第41普通科連隊 小銃小隊長
※我々の期のみ、戦闘支援&後方支援職種 は普通科の小隊長勤務がありました
➤第4特殊武器防護隊 偵察小隊長
➤防衛大学校 研究科(中退)
➤総合系コンサルファーム ビジネスコンサルタント
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研究者を目指し、入校した防衛大学校
ーー今は、コンサルティングファームにお勤めなんですね。まず、自衛隊に入隊された背景と在職時の職務内容を教えていただけますでしょうか。
堀田さん:自衛官としてのキャリアは、防衛大学校入校(以降”防大”)からスタートしました。
入校理由は、一般の防大受験者からすると少しズレており、『人の知れない事をたくさん知っている研究者になりたかった』からです。
地元の国立大学と、防大に合格した後、『国の管轄(防衛省)で研究できれば、人の知れないことをたくさん知れそうだな~』と考えた結果、防大を選択しました。
在学時に、陸上自衛隊化学科に配属されると、研究開発分野を経験しやすいことや、オランダのOPCW(化学兵器禁止機関)派遣、オランダ駐在武官のキャリアを歩めること等を知り、その特殊性に魅かれ、化学科を希望しました。
在職時の職務内容は、ざっくりいうと、上司、または県庁、市役所等の公的機関から、「こんなこと(実働訓練、防災訓練など)やりたいんだよね~」という構想受領したら、組織のリソース(主に ヒト、モノ)を使って「どうやって実現するか」考え、その訓練の起案~計画~調整~実行までを担当する。というイメージです。
そうした日頃の訓練を担当しているからこそ、自分の小隊、組織の能力「我々は何ができるのか」が把握できています。
だから、災害派遣等の有事発生時(実任務)においても、やることは同じで、「こんなことを、いつまでにやらなきゃいけない」という有事対応に対し、「じゃあ、どうする」を考え、現場のリソースを使って構想を具現化できる。
20代前半にしては重すぎる責任だな、と振り返って思いますが、やりがいのある事をしている。
そう実感できるお仕事だったと思っています。
ーーみなさんへお伺いしていますが、自衛隊在職中の思い出・エピソードを教えていただけますか。
堀田さん:普通科小隊長時代のエピソードで、一番充実を感じたことをお話致します。
一般的にいう、新卒1年目の時の事です。
3週間ほどの災害派遣に出動していた時、その時の任務は、ある地域のがれき撤去でした。任務遂行のために、自分の小隊内でジョブローテーションを作り、着々と仕事を回していました。
すると中隊長(=堀田の上司)から「この地域も担当してほしいから、余っている人をそこに回してくれ」と、依頼(≒命令)がきました。
当時、超炎天下で、隊員も疲弊しており、かつ中隊長から「担当してほしい」と言われた地域は、隣の小隊とすでに調整しており、「その小隊が担当するので、堀田小隊は担当しない」と責任を明確にしていた管轄でした。その旨を中隊長に説明、報告した結果依頼はなくなりました。
その一連の動きを見ていてくれた部下の方から、「1年目で中隊長に言い返すなんてやりますね!上司から言われたことを、安請け合いしてしまうんじゃないかと見ていました。ビシッと言ってくれてありがとうございます。」という言葉をいただきました。
このエピソードから、何が言いたいかというと、
「部下は常に上司を見ている」
ということです。
毎日、毎時間、毎分を、誠実に仕事をしていた(と思っています)結果、部下(自衛隊の大先輩)に評価された瞬間は、忘れられないです。
自衛隊を飛び出し、退職自衛官再就職の課題解決へ
ーー組織を考える上で大切な視点ですね。そうした貴重な経験をしてきた中で、なぜ自衛隊から民間企業へ再就職されようと思ったのでしょうか。
堀田さん:2045年問題(≒シンギュラリティ)が起きるタイミングと、私を含む1990年代の世代が定年を迎えるタイミングが、ドンピシャで重なっている事を知った事が転職を考えたきっかけです。
この記事を御覧の方も、お手すきの際に調べていただきたいです。
私は、その情報に触れたとき、シンプルに「え、これってやばくない?今の定年後の再就職の仕組みじゃ、そもそも再就職って無理じゃないの?老後貧困になる人、あふれるんじゃないの?」という思考が止まらなくなりました。
「じゃあ、新しい再就職の仕組みに変えるor作ればいい。そのためにはどうしようか」と考えた結果、仕組みづくりのプロであるコンサルタントという職業がある事を知りました。
それが、現職 コンサルを選んだ結果です。
ーー変化する時代に即したキャリアという考え方でしょうか。そうした転職活動での就職情報収集、スケジュール、準備等必要だったと思います。どのように進められましたか。
堀田さん:私の転職は、エージェント経由でした。ある求人媒体からエージェントと繋がり、2,3度打合せをする中で、コンサルへの転職に必要なスキルセット、マインド等を教えていただきました。
また、「コンサルとして職につきたい」ことは決まっていたので、就活情報収集、準備でいうと、そのための一定の勉強はしました。
就職活動スケジュールは、1か月ほど準備期間です。
ーー現在のは、どのようなお仕事をされていますか。また、ご自身の今後のキャリアをお聞かせください。
堀田さん:ビジネスコンサルタントという職業柄、仕事内容は案件によって千差万別です。それを言葉にするならば、クライアントのニーズ(困っている事)を、クライアントよりも当事者意識をもって考え、最適解を出す事。だと思います。(抽象的ですみません)
さらに詳しく、タスクレベルで「コンサルってなにやるの?」という質問がある方は、どしどしご連絡ください!
自衛官が民間企業で活用できるマインド、スキル
ーー守秘義務があるので、あまりお話できないでないかと思いますので、関心ある方は是非Veteransのメンターマッチングにて堀田さんへ伺ってください。それでは、民間企業を経験される中で、堀田さんが考える、自衛官だった事で活用できる能力、マインド、スキル等ありましたら教えてください。
堀田さん:自衛官なら一定、どなたでも持っていて、かつ、どこでも通用するな、と思うスキルセットは下記だと思います。
・当事者意識
→ビジネスは、お金のやり取り(=契約)という考え方が常識であるため、自分の仕事以外はやらない(契約以上の事はしない)という方が多いんじゃないかなと思います。
所属組織を良くしようと思うと、やらなければならない事は無数にある。当事者意識を持っていれば、そのやらなければならない仕事に気づける。だからこそ、バリューを出せると思います。
・コミットメント力(=やりぬく力)
→お金をいただいて(=契約して)、仕事をするうえで「高い品質で業務遂行する」「仕事を納期に納める」等一定の責任が生じます。自衛官は、任務(=上記でいう仕事)の失敗を許されない世界で生きているので、その力、マインドはどの世界でも通用すると思います。
・チームワーク(=ふと、同僚を思いやれる気遣い)
→「あの中隊雰囲気いいよな」「あの小隊強いな」という組織が多く存在します。そのような組織は、一つの任務を遂行する上でのパフォーマンスが高いと思います。それはなぜか?と、要素分解していくと、一つの要素に「チームワーク」があると思います。
チームの土壌があるから、個々人の力を100%発揮できる。結果、チームとしてのパフォーマンスが高くなる。ビジネスで結果を出している組織も、同じような構造となっていると思います。
当たり前の事ですが、上記3つが当たり前にできる人は、どの組織でも一定評価されると思います。
再就職、転職をする自衛官に向けてのアドバイス
ーーこれから再就職をする人に向けてのアドバイスをお願いいたします。
堀田さん:恐らく、誰しもが一度は「転職しようかな」と考える瞬間があると思います。その時、その感情をなぁなぁにせず、一定期間、本気で自分の人生を考えてみてください。
※これは、転職を進めているわけではありません。
堀田の私見ですが、あくまで仕事は、人生を充実させる手段だと思っています。その仕事に対していつまでも「転職したいな、周りがいいな」と思っていては、本職のパフォーマンスも上がらない(≒人生が充実していない)はずです。
それなら、一回 脳みそに汗かいて、本気で自分の人生を考えて、「私は、自衛官として生きる。」や、「死ぬまでにこれをやり遂げたいから転職する」などの自分の中の答え(=覚悟)を出すべきだと思います。
その答えを考える上で、誰かに相談したいな。と思う瞬間があると思います。
その際は、Veteransのコミュニティに足を運んでみてください。
ここには、自衛隊を卒業し、ビジネス界で活躍している方達が多くいます。
また、メンターサービスを活用してご相談いただければ、皆さんが人生の覚悟を決めるために必要な情報の提供や、キャリアの考え方の相談などアツく相談に乗りますので、ぜひ お声がけください!
ありがとうございました。堀田さんへメンターとしてコミュニティで直接話を伺えますので、ご希望の方は下記よりお申し込みください。