元自衛官インタビュー

自衛官から外資系IT企業で活躍するキャリアの作り方

元自衛官キャリアインタビュー Vol.12

プロフィール
松本 隆宏さん
現職:Amazon Web Services(AWS) – Account Manager
自衛隊在職時最終役職:陸上自衛隊3等陸曹

経歴

ーー本日はお忙しい中、退職予定自衛官、元自衛官のキャリアを考えるインタビューにご対応いただきありがとうございます。まず、松本さんの経歴を教えていただけますか。

松本さん:高校卒業後に第8期曹候補士として入隊、入隊約3年後に第101期陸曹候補生課程を経て、通信科の3等陸曹へ昇任。昇任後は無線修理陸曹として8年半勤務したのち、自衛隊を除隊しました。

除隊後は当初職業訓練校でプログラミングの基礎を学び、IT業界へ転職しました。最初の転職先は地元新聞社のIT関連会社に転職し、その会社でエンジニアとして5年、営業として5年勤務してから、東京営業所の立ち上げにも関わりました。

その後キャリアアップのため、現在勤務しているAWSへAccount Manager として転職し、現在に至ります。

ーー自衛隊に入隊された背景と在職時の職務内容を教えていただけますでしょうか。

松本さん:私は高校卒業後に自衛隊に入隊しています。父が陸上自衛官でかつ地方連絡部(現 地方協力本部)勤務であったため、父の勧めで就職試験の準備も含めて受験をした所、合格したことが入隊のきっかけです。

進学も考えたのですが、父が働いていた関係で、小学校や中学校で駐屯地の開放日に行っており、自衛隊が大変身近でしたし、まずは自衛隊を経験しようと思い飛び込みました。

陸曹候補生課程を終えた後は、九州補給処において通信電子機材の回収・分類などを当初担当し、3曹昇任後は無線通信機材の修理を主業務としておりました。

自衛隊で培ったリーダーシップ力

ーーお父様が自衛官だったんですね。自衛隊在職中の思い出・エピソードを教えていただけますか。

松本さん:思い出深いのは、陸曹教育隊の教育ですね。当時私は、補給処から来ていましたので同期、教官・助教からもなめられている部分があると感じていました。

なので一泡吹かせてやろうと思い、人一倍努力して課業に取り組みました。しっかり結果を出すと、周りの評価も変わってくることを実感しました。想定外、想定以上の活躍をすると人への評価はがらり変わり、精神的にも立場的にも人として有利に立てるんだなと思いました。そこから物事には何事も本気で考え、取り組むことが意識付いたと思います。


また、リーダーシップも学べました。

陸曹教育隊は一人で何かやり切ることが難しい状況を作られています。たとえば時間は分刻みでスケジュールされていますし、一人では到底やりきれないタスクが与えられます。

目まぐるしくすぎる時間の中では、自分一人で解決できない問題も有り、同期達と手を取り合いなんとか解決するという思考とコミュニケーション能力を鍛えられ、訓練を通じてはリーダーとして求められる資質と能力について試行錯誤する日々でした。

一人で強引にやってしまうと不協和音が生じてしまい周りに迷惑を掛けてしまいます。そうならないようにするためには、目的を明確にして、統一性を持たせることと、各チームリーダーとネゴシエーションをして、タスクや役割分担を明確にする必要があります。

とはいえ、班員にやらされ感が出てしまうと結果も出づらいですし、一枚岩になりえないこともあります。そのため、時間がない中でも、どのポイントをどのように折衝をすることがうまく組織を動かせるのか、という組織の動かし方やリーダーシップを学べました。

ーー再就職についてですが、なぜ自衛隊から民間企業へ再就職されようと思ったのでしょうか。

松本さん:直接の退職理由は、入隊の動機ともリンクしますが、高校卒業時点では、まず自衛隊に入隊したという状況でした。そして入隊後の膝の怪我がきっかけで、定年までの勤務は難しいと感じていました。

たしかに、当時27歳で年齢もそこまで若くなく、退職への葛藤がありました。

そうした中、たまたまIT業界に勤めている友人に身の上相談をしたところ、IT業界は、25歳以下での転職が多いものの、年齢以外に技術に対し、深掘りをどんどんできる人がスキルが上がっていくことや、やり切るマインドセットがある人は好まれる傾向にあると言われ、挑戦するならこのタイミングだと決意しました。

退職は、止められはしたものの、やめると決めたら、スパッと切り換える性格なので、上司にやりたいことを明確に伝えると許可をしていただけました。

IT業界はテクノロジーの進歩がある限り無くならないですし、私の場合は、職業訓練学校を経由しているので、IT業界に現場に入った29歳になってからですが、あの時の早い決断は良かったと思っています。

履歴書の自衛隊という経歴の活かし方

ーー再就職時の就職情報収集、スケジュール、準備等必要だったと思います。どのような準備をされましたか。

松本さん:転職について相談していた友人がIT業界に勤めていたため、必要な言語などを事前に知ることができたので、地元の職業訓練学校でJavaを学び、再就職へ備えました。

私がお世話になった職業訓練学校はIT企業が受託している学校だったため、基礎的なITの知識やJavaなどのプログラム言語教育はよく理解できました。また、システム構築は、実際に現場で実業務を行うカリキュラムになっていたため、より実践的な教育を受けられました。

そうして基礎的なIT知識を得たのちに、就職活動を行いました。ただIT知識を得ても、当時は就職氷河期でもあり、転職活動は難渋しましたね。たまたま、地元新聞社のIT部門が少数ながら採用をすることを目にして、履歴書を送付しました。

正直、学校で学んだ程度だと経験とみなされないのですが、履歴書に書いた自衛官経歴を評価してもらい、未経験で技術はないものの採用してもらいました。自衛官として培った素質として、苦しいことやってきているので、忙しく大変でも何とかなるでしょうと採用してもらう荒技でしたね。

ただ、忙しさはその通りで、扱う分野も広くネットワークからインフラまでまるっと提案、扱う仕事をしていましたし、営業職になってからは東京営業所の立ち上げまで経験し、ITビジネスにかなり強くなりました。

ーーそちらで得た経験を基にAWSへ転職されたんですね。AWSでは、どのようなお仕事をされていますか。また、ご自身の今後のキャリアをお聞かせください。

松本さん:現在は営業として勤務しています。

入社1年目で担当した顧客は主にISV企業(自社開発でSaasやパッケージのIT企業)で、その中でもマーケティングを生業とするお客様が中心でした。1年目は個人の営業目標を大幅に達成する形で終えて、その後現在は中小企業の顧客を中心として営業担当をしています。

ISV企業が顧客の時は、今では皆さんよく知っているハイタッチ企業が、まだベンチャーの頃に僕の顧客でした。そのため、僕が提案したことがクライアントに通り、結果クライアントのビジネスが成長することを目の当たりにして、大変やりがいを感じていました。

また今も、担当している中小企業でもクライアントの売上が伸びていくことや一緒に成長していると感じることに対し、大変やりがいを感じています。もちろん、AWSの利用が伸びると弊社の売上にもつながりますしね。

そのため、今後のキャリアは、引き続き営業担当として、AWSのビジネスがより成長する仕組み作りを突き進めていきたいと考えています。

ーー松本さんが考える、自衛官だった事で活用できる能力、マインド、スキル等ありましたら教えてください。

松本さん:リーダーシップです。リーダーシップの中でも、人の上に立って組織を引っ張るマネジメント的な要素というよりも、みんなの前に立って、率先陣頭し自らが動き、組織を牽引する気概とそのために関係各所への根回しという牽引力みたいなものです。

現在私が勤務しているAmazonでそのスキルは強く活かせていると感じます。Amazonは、リーダーシップに強いこだわりがある企業なので、働いているメンバーは、リーダーシップが当たり前に備わっています。

営業で言えば、顧客をリードするために、常に自分ごととして顧客の課題を捉えることや顧客がどうしたいのかを顧客の目線に立って捉えた上で、推進、ドライブをさせていくことが求められます。

そうした観点を弊社はOLP(Our Leadership Principles)という基本素養で定めています。社内、社外でそうしたリーダーシップを発揮できれば、結果を出すことに繋がりますし、そうした気概は自衛隊でも同様の素養を鍛えられてきたと感じています。

ただ、Amazonは、数字で語る文化が大変強くもあり、曖昧な表現は通らず、数字で出す様に求められたり、根拠が必要なので、数字で追うことも求められます。その辺りは自衛隊には無い分、Amazonで鍛えられていると感じます。

再就職、転職をする自衛官に向けてのアドバイス

先を見据えた行動、キャリアアップを考えよう

ーー外資企業でも活用できるほどのリーダーシップが得られたのですね。最後にこれから再就職をする人に向けてのアドバイスをお願いいたします。

松本さん:僕の体験からも自衛官というのは民間企業からの評価は高いため、再就職でも有利に働くことが多いです。

そのため、元自衛官としてのバリューをアピールすることは難しくないと考えます。しっかりと対策をすれば、一般的な大手企業への転職は難しくないと思います。

それより転職した後が重要です。自衛隊は上意下達がその原則であるため、受け身になりがちです。ただ企業では自らがリーダーシップを取り、組織を引っ張ることが求められますし、それは自分自身にも置き換えられます。

そのため、民間企業へ再就職、転職する際に、まず自分は何をやりたいのか、そして1年後、3年後、5年後、自身がどうありたいかを明確にすることが必要です。

中長期的な観点で見出すことが難しいなら3ヶ月、6ヶ月という短いスパンでもいいので自身が、どのようになりたいか明確なビジョンをもつことです。自分が思っている以上に時間はあっという間に過ぎますが、若い人ほど吸収が早いため、その期間をムダにしないためには、やりたいことやキャリアのビジョンをできるだけ明確に持っていた方がよいと思います。

とくに再就職、転職で環境が変わるとエネルギーを使いますし、エネルギーや負担が生じることによって目標がブレてしまうこともあるため、そうした視点でもビジョンを明確にもつことが必要です。

ありがとうございました。松本さんへメンターとしてコミュニティで直接話を伺えますので、ご希望の方は下記よりお申し込みください