元自衛官インタビュー

民間企業で働く元幹部自衛官が自己紹介兼ねて転職活動をお話しします

元自衛官キャリアインタビュー Vol.1

プロフィール

太田 佑
現職:株式会社Veterans 代表取締役
自衛隊在職時最終役職:陸上自衛隊3等陸尉

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経歴

2006年に大学を卒業し、陸上自衛隊幹部候補生学校入校(06U)後、特科隊に所属していました。訓練中の膝の怪我が原因で自衛隊を退職。退職後は、広告会社、参天製薬、メドレー、シミックといったヘルスケア系企業で勤務し、2020年4月に株式会社Veteransを創業。

Veteransは退職予定自衛官・元自衛官のキャリア支援と医療・ヘルスケア産業に特化したコンサルティングの2つ事業を行っている会社です。

長らく仕事をしていたヘルスケア産業では、「患者が納得する医療」をテーマに所属企業の事業拡大を推進していました。参天製薬では医療機関に薬剤情報の提供や地域連携の橋渡しを、メドレーでは、新型コロナウイルスでも注目された、オンライン診療システムを医療機関に普及させる仕事をしていました。

オンライン診療の認知拡大の為、全国各地で100回以上講演やセミナーを行い、150近くの医療機関へ導入のきっかけを作っていきました。このようなヘルスケア産業の知見から、現在は医療機関向けのマーケティング支援、コンサルティング業務を行っています。

自衛隊入隊のきっかけ

シンプルに、自衛隊の気質的なものへの憧れが強くありました。戦車、戦闘機といった強いイメージのモノへの憧れも強かったですが、規律や統率というビシッとした文化に憧れていました。新卒では、人の役に立つ仕事がしたく、公務員試験を受けていた中で、自衛隊幹部候補生学校を知りました。そして、2006年4月に福岡県久留米市にある陸上自衛隊幹部候補生学校に入校。

入隊前には、地方協力本部の方に富士総合火力演習見学や福岡研修に連れてってもらいました。入隊の不安も払拭され、大変お世話になった思い出があります。

富士総合火力演習はあの迫力にハマり、その後も隊友会の企画含め数回参加しました。毎回、統制が取れた挙動や車両の動きの美しさに感動しています。

半分できれば倍はできる?!

初めて親元を離れ、入校した幹部候補生学校(幹校)は新しい経験だらけでした。体力、精神両面から鍛え上げられ、一般大学出身の自分には非常に厳しかったですが、質実剛健、清廉高潔な精神をはじめ教育手法や人をどう育てるかという視点は大変勉強になり、充実した日々を送りました。演習中の写真は自己紹介の時によく使っています。

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幹校教育で興味深かったことは、一見実現困難なことも半分出来ればクリアできるという視点を得られたことです。

4km遠泳訓練や80kmの二夜三日(訓練中は夜間活動する為、夜は過ぎるだけで泊では無い)の攻撃訓練、二夜三日の防御訓練。入校前はとても出来ないと思っていましたが、同期もみんなほぼ達成できていました。

突然、4km遠泳や80kmを歩かせても脱落者が出ると思いますが、幹校の場合、まずその1週間前に半分を実行します。4km遠泳であれば、2km泳ぎ、80km行軍であれば、40km歩きます。

そうすることによって、自信をつけさせて、これが出来れば倍はいけるという超体育会的な考えです。ただこれが意外に達成できるのです。

こうした経験は、今の自分の考えにも活きており、仕事、趣味で限界と思っていることも、少なくとも倍は達成できるはずだとポジティブな思考に至っています。

服務の宣誓

服務の宣誓は、大変気が引き締まる体験でした。自衛官であれば宣誓されたと思いますが、フレーズの強さに気が引き締まりました。

「身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」

要は有事の際は、死をもって任務遂行することを誓うことです。入校中にその言葉の重みや人のために自分を犠牲にするという価値観を考える機会がありました。陸軍特攻隊員の遺書が展示されている知覧研修です。

必ず死ぬことを命じられ任務遂行することは、現代では考えられない状況ですが、そうした理不尽に近いことが非常に冷静かつ客観的に表現されていました。

どのように自分を納得させたのか。

遺書を読む限り、最終的に出されていた結論。それは国ではなく、自分自身の身近な存在を守るために自分を犠牲にする、そうした判断だと感じました。

国という大きなモノを守るために死ぬには、特攻はあまりにも曖昧で納得がいかなかったのかと思います。特攻隊は肯定されるものではありませんが、家族や近しい人たちを守るために自分を犠牲にするという死生観は自衛隊を経験することで実感しました。

私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。(服務の宣誓)

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幹校卒業後は、大砲運用部隊(特科隊)に配属され、初等幹部として中隊訓練立案、実行や班員指導等を行っていました。2007年に起きた新潟中越沖地震では、給水支援の幹部として新潟被災地にも派遣されました。

そうした中、もともと悪かった膝を戦闘訓練中に悪化させてしまい、手術をしました。

陸上自衛隊では、ほぼ毎日体力錬成のために走ります。そうした環境で、術後の膝の状態から継続して自衛隊を続けることへ不安を感じ、自衛隊を退職しました。

退職を決めてからの転職活動

退職に際し、幹部自衛官は、陸上幕僚監部(陸上自衛隊の本部)まで上申をしなくてはならず、退職届出をしてから2,3か月ほど掛かります。在職中は、転職活動ができなかったため、課業後にインターネットで人材紹介会社経由(エージェント)の情報収集、求人広告の閲覧をして、どういった職種が自分に向いているのか自己分析や企業分析をしていました。

企業分析をする中で、まずは経営的な数字は理解できなければと思い、簿記2級を勉強していました。

簿記の知識は、就職活動時にかなり活用できました。また、人と話すことが好きな性格だったため、仕事は営業職をしようと決めました。

ただ、何を売るにしても会社、競合、環境において何か秀でたモノや差別化を付ける必要があります。また、就職先の会社がどういった状況なのか、その会社が成長するのか等、人から聞くだけでなく自分でも理解、納得するために簿記の勉強が活きましたし、順調に利益を上げているか、採用の背景は何なのか等を推測できるため企業選びにも役立ちました。

また、企業の面接の多くに、「最後に何か質問はありますか?」と振られるケースが多いです。

その際に、募集背景を確認することは重要です。事業ごとの売上構成比率と、その事業が年どれくらい伸びているのかを聞き、その理由を確認すると具体的な事業の手法を知ることができます。

私は営業職でしたが、自分としてやれる営業スタイルかを判断できる材料にもなりました。状況把握するために、数字を読む力を身につけて良かったと思います。

転職・再就職の注意点(職務経歴書書き方、面接対策)

転職活動で苦労したことは、人に自分自身を伝えることでした。

中でも職務経歴書に書いてある文言が自衛隊用語ベースになるので、書類通過率が低く、ここは改善する必要がありました。相手にとって、分かりやすく書かないと人事担当者も当然理解できず、変な人を取ってしまうのはコストになるだけなので慎重です。

改めて当時の職務経歴書を見返して見ましたが、これはセンスないなと(汗)

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自衛隊内で報告するのにはまだ良いですが、企業人事が見るという着眼が無い為、まるで、何をやっていたのかがイメージがつきませんし、どのような能力があるのかも伝わらないです。

人事担当者からしたら「幹部」という位置づけが理解できませんので、この場合は、70人程が所属する組織の組織長の補佐、企業でいうところの係長という表現の方がまだ分かりやすいと考えます。

また、「計画立案」も自衛隊内であればわかりますが、人事担当者としては自衛隊が何をしているのかそもそも知らないので、組織の成果が向上するようにPDCAを回す計画起案およびその進捗管理をしていたというような記載にすることで、「ああこの人は、組織内の調整や人とコミュニケーションは取れるんだな、指導をしているということは人を引っ張ることや指示するリーダーシップ性もあるのかな?聞いてみよう」となる訳です。

お恥ずかしい自分の過去の書類ですが、転職、再就職した方もおそらくご経験があるのでは無いでしょうか。

転職、再就職する際は、自衛隊用語を知らない民間企業の人にも分かりやすい表現に変換する必要があると感じます。表現の仕方は、コツが必要なので民間企業で働いている人に、ブラッシュアップしてもらうことが良いと思います。

面接も同様に、聞かれることが決まっている項目や順序は、できるだけ事前に練習することや他の人に練習台になってもらうとより自己表現が適切に言語化できると思います。

Veterans Channelでは、そうした僕自身の経験も踏まえて、これから民間企業へ再就職を考えている人や元自衛官のコミュニティの中で、ブラッシュアップできるような環境を作っていきたいと考えています。

なぜいま自衛官のキャリア支援をスタートするのか

今、災害派遣や有事対応で一生懸命国の為に取り組んでいる自衛官がいます。

そこに僕が貢献することは、もはやできませんが、自衛官が民間企業に転職、再就職する際に自分のやりたい仕事につけることの支援ならば自分自身が経験したためできます。

そして企業人事はじめ一般の方に元自衛官の素質・能力を知ってもらい退職予定自衛官、元自衛官がより活躍できる環境作りに貢献したいと考えています。

さらに広く考えると今後生産年齢人口が減少していく日本において、活躍できる人たちが適職につくことは日本に取っても価値あることだと思っています。

Veterans ロゴ_png - コピー

Veteransは、退役軍人の意と物事に精通したベテランを掛けた会社名です。ロゴは羽を広げて矢のように跳躍したキャリアを歩めるようにというイメージで作成しています。

民間企業で活躍する自衛官OB、現職で、転職・再就職の情報交換の場を作り、自衛隊を起点としてそれぞれが活躍できるキャリア形成に関与していく媒体として直向きに取り組んでいます。是非ご参加ご活用ください。

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