元自衛官インタビュー

自衛隊で培った「即応力」を生かした民間企業での活躍の仕方

元自衛官キャリアインタビュー Vol.9

プロフィール
江澤 功起さん
現職:一部上場化学メーカー
自衛隊在職時最終役職:陸上自衛隊陸士長

経歴

ーー本日はお忙しい中、退職予定自衛官、元自衛官のキャリアを考えるインタビューにご対応いただきありがとうございます。まず、江澤さんの経歴を教えていただけますか。

江澤さん:高校を卒業後に陸上自衛隊に入隊しました。4年間自衛隊で勤務した後に金融関係の営業へ再就職し、IT関係の営業を経験した後に、現在は一部上場化学メーカーで製造オペレーターとして働いています。

ーーありがとうございます。自衛隊に入隊された背景と在職時の職務内容を教えていただけますでしょうか。

江澤さん:私は高校を卒業してから自衛隊に入隊したのですが、就職を考えていた中で、就職するならば、スーツを着た仕事ではなく、人のために働くような仕事をしたいと思い、そこで単純にカッコ良く壮大な仕事だと感じていたのが自衛隊でした。

消防士や警察官も人のために働く仕事ですが、コンバットマガジンを中学校から愛読書にするくらいミリタリーが好きだったこともあり、自衛隊を選びました。

自衛隊入隊後の配属先は、霊峰”富士”の裾野である静岡県の陸上自衛隊滝ヶ原駐屯地の滝ヶ原駐屯地普通科教導連隊です。部隊では、120mm迫撃砲の部隊に在籍していましたが、テレビ等で最近よく目にするレンジャーを養成している部隊でもあり、その教育を目の当たりにしていると、住む世界や次元が違うなという印象で見ていました。

自衛隊在職中で得たもの

ーー自衛隊在職中の思い出・エピソードを教えていただけますか。

江澤さん:教育期間中の仲間達が1番思い出に残っています。

まだ社会に出た事の無い18歳の隊員が一人前の自衛官として教育をされる中で、厳しい訓練を仲間と共にこなしていけたことは自衛隊在職で得たよい経験の一つです。

私が所属していた分隊では、わりと入隊当初に体力の無い人たちが多く、分隊長も厳しい指導の反面、しっかり育てようという気概のある人でした。訓練は本当に厳しく、ハイポート(銃を持って走る)や、背嚢を背負いながらかがみ跳躍をやらされました。

しかも回数ではなく、体力の限界を超えるくらいの時間でやらされるんで、跳躍も最後の方は記憶がなくなるくらいやったこともありますね。

そうした辛い訓練だったので、同期も私自身も幾度となく教育期間中に辞めそうになりました。しかしそのたびに班員全員で集まり、声を掛け合い、涙しながら乗り越えていった事が思い出です。仲間の大切さ、熱い想いが胸に焼き付いています。

当時の仲間達でなければ続けられなかったと思いますし、チームワークという意味でも、共感や同じ目線でものごとを考えていく大切さが理解できました。

できるのが当たり前では無く、できない人へのフォローをする必要性や大切さが身についたことは今も実生活で生きています。

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ーー仲間と共に乗り越えるチームワークの重要性ですね。続いて、再就職に関して、お話をうかがいたいと思います。まず、なぜ自衛隊から民間企業へ再就職されようと思ったのでしょうか。

江澤さん:自衛隊というのはある意味特殊な職場環境です。自分自身の視野を広げると言った意味でも”他の世界”も見てみたいと思ったことがきっかけですね。

当時、金融機関で働く先輩がいて、いろいろとビジネスを教えてもらう機会がありました。そのうち、先輩のいる会社に営業職で来ないかと誘われて、迷ってはいたもののまず話を聞きにいきました。

仕事内容や経営という点は自衛隊と違えど、計画をもって働くことや組織は似ているところもあり、何より売り上げを達成するためにチームで頑張るという方向性は私が活躍できる場所だなと思いました。当時漠然と他の世界も見てみたいと考えていた自分としては、ここなら活躍できるだろうと再就職を決定しました。

再就職は私の中では成功で、チームプレーを重視する会社でしたので、他のメンバーのために頑張ろうというという自衛隊で培った気合と根性も活きましたし、そんなチームでしたので、当時のマネージャーは、就業外でも金融の勉強や教育をしっかり指導をしてくれて、そうした指導により付いた基礎能力がビジネスのベースアップにつながったと考えています。

チームは、ほぼ会社から与えれた予算を達成しており、達成できたらお昼から祝杯したりもしていましたね。今はさすがにやっていないかもしれませんが、それくらい最初入った会社は、オンオフがはっきりした会社でした。

ーー自衛隊在職時の転職活動は制限されていたかと思いますが、再就職時の就職情報収集、スケジュール、準備等必要だったと思いますが、どのように準備されていましたか。

江澤さん:私の場合は、先輩のお誘いを受けて再就職したため、これといって就職情報の収集、準備などはしていませんでした。ただし、自分が進みたいと思った業界へのアンテナは張っておくべきだと思います。

ーー現在はどのようなお仕事をされていますか。

江澤さん:現在は、家族との時間をしっかり作りたいと思い、化学プラントでの製造オペレーターとして働いています。その他、勤務体制がシフト制なので、比較的時間が作れるようになり、元々興味のあった防災アドバイザー、セミナー、健康関連、防犯事業などを企業やNPOから委託を受ける形で複数の仕事に携わらせていただいています。

ーー今までのキャリアと今後の考えているご自身のキャリアをお聞かせください。

江澤さん:自衛隊から金融、IT、化学と幅広い経験をしてきました。今後は一つの仕事に捉われず、複数の事業を色々な方と協働していくパラレルワーカーとして進んで行きたいと思っています。

色々な業務を経験をしている理由は、今後、自分で事業を立ち上げたいと考えているからです。社会に価値ある事業を提供することで、貢献できると共に、その価値をできるだけ広げていきたいと考えています。社会に価値として認められれば収入にもつながるため、複数の収入源を得られるような仕事の仕方もしたいと思っています。

特にいま、私が広めているのは、防災に関することです。自然災害が多い日本では、一人ひとりが防災の考え方、知識を持つ必要があり、その知識が「生きる力」となります。防災は予測する力、備える力、実践する力が必要で、オールマイティに力が求められます。それらをさらに子供の頃から考えてもらうようにすることで、子供たちにも防災を通して、生きる力を得て欲しく防災教育という認知を広めています。

現状は防災アドバイスを通じて、親御さんに対しオンラインのセミナー講座を行っていますが、さらにこうした機会を作っていければと考えています。

「即応力」をフル活用して民間企業で求められる人材に

ーー新たな事業も立ち上げられているんですね。そうした積極的な活動をしている江澤さんが考える、自衛官だった事で活用できる能力、マインド、スキル等ありましたら教えてください。

江澤さん:一言でいうと「即応力」という観点で、基本的能力が高いと思います。

現代はVUCAと呼ばれる変化の激しい時代です。その中で企業も人材も変化に素早く適応出来なければ生き残っていけません。そういう意味で迅速に物事を認知、判断、行動するといったマインドは自衛官に備わっていると思います。こうしたマインドは企業としても個人としても活用出来ると考えます。

たとえば、営業で言えば、お客さんのニーズをいかに汲み取り適切な提案ができるかによって受注できるかが変わってきます。お客さんの要望は十人十色ですので、同じようなニーズでもきめ細やかに対応しないといけないことが多いです。そうしたニーズの把握や汲み取ることは柔軟性や臨機応変な対応が必要ですし、課題解決の提案までもっていく迅速な行動という一連の流れで対応ができることも求めれます。

上官から言われた通りにこなすことでは戦いには勝てません。大枠を命令された後にいかに自分自身でも考え、最適最短で勝つような行動をするかを自衛官はこなしていますので、そうした観点から即応力は期待できると考えています。

再就職、転職をする自衛官に向けてのアドバイス

ーー即応力ですか、そうした観点も入れて、これから再就職をする人に向けてのアドバイスをお願いいたします。

江澤さん:即応力として、現代の変化に対応する根源的なスキルは自衛官として身についています。

あとは自分の進みたい業界のスキルを身につけて、自分の価値観を広げていけば行動力と知力を兼ね備えた「最強」の人材として活躍できると思います。頭でっかちではなく、実践力を備えた仕事ができるし、期待されうると思います。

その為にこれから再就職する方は枠に捉われず、変化を好んで、常に柔軟な考えのもと新しい知識、技術を吸収していって下さい。

私は高校を卒業してすぐ自衛隊に入隊したため、自衛隊の価値観しかありませんでした。その後、民間企業に再就職する中で、社会に出ていろいろな人たちと積極的にコミュニケーションを取ることを心がけました。

その結果、対人関係、コミュニケーション能力が飛躍的に高まったと感じています。自衛隊にいた時は、他の業界の人の意見を聞いたり、考えを聞く機会がなかったので、業界を知ることで、情報も蓄積されて視野が圧倒的に広がりました。

ですので、日頃からいろいろな業界の方とコミュニケーションを取り、視野を広げる活動をしていくこともよいと考えます。

ありがとうございました。江澤さんへメンターとしてコミュニティで直接話を伺えますので、ご希望の方は下記よりお申し込みください。

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