コミュニティ活動

元自衛官の危機管理系職種への転職のメンター相談

メンター相談#6

相談背景

相談者は、海上自衛隊の航空学生から入隊後、1尉で退官し、現在は家業を手伝い中の元自衛官。

ただ、将来的には、危機管理方面でキャリア形成をしていきたいと考えており、Veteransの記事を読んで、メンターへ相談を申請しました。

相談内容

ーーメンターはどのような危機管理の仕事をしているのでしょうか?

メンター:私は、航空業界にて、BCP(事業継続計画)の立案運用業務を行なっています。

具体的な業務は、飛行場における航空機事故からハイジャック等のテロが起きた際、どのように対応するかを事前に具体的に計画立案する業務及びその体制作りです。

関わる人たちが、国土交通省や自治体、そして航空事業に関わる整備から機内食の会社まで多岐に渡るため、関連する各所との連携や調整が必要とされます。

そして、台風といった自然災害が起きて、対応が必要な際にそのマネジメントも行います。

ーー危機管理が必要とされる業界とはどういった業界でしょうか?

メンター:ほぼ全ての業界や企業は、大なり小なり、危機管理が必要となります。プラント会社、水道会社、航空会社、インフラ企業、コンサルと幅広いです。

危機管理とひとえにいっても幅広く、私が行なっているオペレーションと防災以外にも、危機管理分野では、昨今、IT系、財務系、広報系、戦略系といった点でも求められることが多いです。

たとえば、広報で言えば、事故や不祥事を起こした際に、会社の見解を世間に公表する必要がありますよね。

そうした際に、発表内容が適切かを危機管理スタッフへアドバイスやジャッジすることも求められてきています。

「ここまでは言ってよいけど、ここはこうした言い回しの方がよい」といったことを根拠と併せて提示するような形ですね。

ーーなるほど。では、自衛官から危機管理業務へ行く際は、どのようなキャリア形成がおすすめでしょうか。

メンター:一概には言えませんが、入りやすいところから入っていき、専門性を高めることがかと思います。

たとえば、自衛隊であれば、防災や有事に対しての計画立案は実業務で行なっているかと思いますので、そうした業務を必要としている企業へまず入ります。

そして、IT、戦略、広報へ対応できるように、そこで経験を積んだり、新たに資格取得等をすることで、専門性を高めて、キャリア形成をすることがよいのではないでしょうか。

ーー今の会社へ入社するまでの経緯を教えてください。

メンター:入社した会社は、人材紹介会社経由で紹介してもらいました。

エージェントは、担当者との相性が転職活動の鍵になるとよく言いますが、僕は幸いなことに、当時の担当者が元自衛官だったため、こちらの状況をよく理解してもらい進めやすかったです。

企業の紹介から、職務経歴書に至るまで、元自衛官の知見を活かしてもらい、よい転職先を紹介してくれました。

その他は、情報収集目的で、転職サイトへ登録し、企業研究や転職活動の参考にしていました。

自分で探すことももちろん重要ですが、働きながらの転職活動は、いかに時間を効率的に使うかだと思います。

そうした意味では、エージェントからの企業紹介は有用です。ただし、自分にあった担当者で無いとよい転職ができませんので、そこは注意が必要です。

ーー相性のよいエージェントの見つけ方はどのようにすればいいでしょうか。

メンター:エージェントも総合的にいろいろ紹介するところと、専門的な職種に特化しているところとさまざまありますので、いくつかエージェントへ登録することがよいと思います。

また、必要であれば、自分に合わない担当者は変えてもらうことで、よい担当者とマッチングできると思います。

担当者によって的確に職務経歴書をフィードバックしてくれますし、職務経歴書や担当者の推薦次第で面接に行けるか大きく変わりますので。

ーー職務経歴書は企業ごとに変えて提出していましたか?面接はどのように進むのでしょうか。

メンター:危機管理に特化していたため、企業単位では、職務経歴書は大きくは変えていませんでした。

書類選考が通過さえすれば、面接は、基本的に大丈夫だと思います。

危機管理といった分野は元自衛官の専門性としても、強みだと思いますし、危機管理の現場は、コミュニケーションが重要なため、面接ではそこを確認されます。

Aさん(相談者の方)は、その点、大丈夫そうですよ。僕の場合は、担当部長と担当役員と面接して、2回で終わりでした。

ーー面接の中で、危機管理の計画や立案能力を問われるようなことはありましたか?

メンター:そうですね。面接では、パワーポイントスライドを表示され、「これから会社では、このようにしていこうと思います。」と今後の事業計画を説明されました。

都度、この展開についてどう思いますか?といったようなディスカッションになり、答えていく流れでした。

無事内定を得たのち、面接通過後は、年収の交渉をエージェントを通じて、交渉してもらい、上げてもらいました。

どの企業でも出来るかは不明ですが、外資系企業の場合、年収交渉余地があったりするため、企業によって交渉をするとよいと思います。

もやもやしながらの転職だと、スタートダッシュできないですから、自分の主張をしっかりすることで、しっかり働く環境を整えることがよいと思います。

ただ、僕の場合は、年収交渉は成功しましたが、その成果も当然求められ、入社して、すぐプロジェクトチームにアサインされて、BCP立案業務に入り、プロジェクトの責任を任されました。

最初の3ヶ月は大変でしたが、仕事には慣れました。

ーー危機管理担当として応募するにあたって職務経歴書において考慮すべき点を教えてください。

メンター:求人票に書いてあることをよく読み、理解することです。

この企業は、何を課題と捉えて、今回採用をしているのか、どういった人が欲しいのかを相手の立場になって、そこから自分が貢献できることを考えることをお勧めします。

私の場合は、今の会社を受ける時に、求人票から災害対策や防災対応が弱いことが明確に分かりました。そのため、自衛隊での災害派遣の経験や当時行なっていた計画、運用を中心にアピールしました。

最初にスクリニーングする人事担当者は、さらっとしか見ませんので、サマリーの部分で、短くても目につくようなキャッチフレーズを記載したり、工夫をするとよいと思います。

ーー客観的に見られて目につくために盛り込む要素は何がよいでしょうか?災害派遣へ現場担当者としていっただけでもアピールできるのでしょうか?

メンター:たしかに、責任者であれば、より記載しやすいと思いますが、そうでなくとも、引け目を感じる必要は無いと思います。

災害派遣へ現場担当者として行ったとしても、計画に基づいて運用や実行していますよね?

そこでどういった課題があったかや現場で活動して、どのような事前対策が必要かを肌で理解していると思うので、そうした点を記載するとよいです。

職務経歴書は自己アピールなので、できるアピールは積極的にしていきましょう!

ーー最後のアドバイス

メンター:まずは、自己アピールを意識した職務経歴書を書くこととよい担当者を見つけることが重要だと思います。

ーーまずは自分と相性のいいエージェントさんと繋がることが重要ですね。ありがとうございました。

民間企業で活躍しているメンターへも直接相談できます。関心ある方は下記より申し込みください。

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