メンター相談#3
プロフィール
相談者(Aさん)
海上自衛官として勤務しているが、一身上の都合により自衛隊退職を検討している。退職後は、ITコンサルに関心を持っており、コンサルファームおよびITコンサルの働き方について知りたい。
メンター(Bさん)
元航空自衛隊幹部として勤務。自衛隊退職後に総合系コンサルファームにて勤務している。
相談背景
今回の面談趣旨は、転職活動及び転職する際にコンサルファームに採用してもらうために必要な準備や心構えを元自衛官で既にコンサルファームで勤務されているBさんから教えてもらいます。
相談内容
ーー転職活動の進め方についての具体的な経験談をお聞きしたい。(時期ごとの行動、利用した転職サイト•エージェント等)
Bさん:転職エージェントは、リクルートエージェントを利用しました。理由は、サイトの使い勝手が良かったからです。転職のタイミングですが、実はいずれとは考えていましたが、明確に時期を定めて転職をしたわけではなく、転職の方向性や転職市場に関して情報収集をしようとカジュアルにエージェントに相談をしたところ、年齢として第二新卒枠という、比較的転職しやすいタイミングであったことから、活動開始をしました。
具体的な活動は、書類提出をエージェントにお願いして書類通過の感触を得ていました。コンサル志望だったため、多くはコンサルファームからの回答で、その一社が入社したコンサルファームでした。
スケジュール感ですが、コンサルファームの多くは、初回SPI、CAB、GABといった筆記試験を受けて、2〜3回面接を行います。順調に通過していけば、3〜4週間で内定が出るといった流れです。
僕はそんな感じで急遽活動を開始したことから、試験対策は特にすることなく、受験しましたが、筆記試験対策は時間があればやった方がいいと思います。
部隊へは活動前に転職する旨の了承を上司から得ており、そのなかで、都度報告していました。ただ、退職時期は部隊や人員配置が固まり次第なので、明確には伝えてもらえず、内定が出てから、内定をもらったコンサル企業へ事情を説明して、僕の場合結果、概ね8ヶ月ほど入社を待ってもらいました。
会社によりけりですが、最大でも6ヶ月くらいが限界と考えた方が良いと思いますので、活動をする際は、部隊の了承が得られて勤務しながらの活動ができるのであれば、計画的に転職活動をする必要があると思います。
ーー肌感として、コロナの状況で転職の入り口は狭まっていますか?
Bさん:結論、狭まっていないと思います。コロナの影響による企業のデジタル化が進んでいます。そうしたことから、IT関連を含めた案件自体は非常に増えており、コンサルティングファームは仕事が増えれば、人を補充していくため、これからも人は採用していくと思います。
ーー自衛官から民間企業及びコンサル業界に転職する上で埋めるべき差異は何でしょうか?(マインドやスキル等)
Bさん:論理的思考力です。そもそもなければ転職は成功しないので、もっとも必要な要素でもあります。
よく、自衛官は戦略、作戦を勉強しているので、論理的思考力が高いですよと言われてますが、正直ロジカルシンキングや簡潔に述べる、結論から話すといったことを追求された場面は自衛隊内では無いと思います。
そのため、普段から自衛隊で学ぶ環境は無い一方、しかもコンサル業界は特に、結論から話す、論理的に話すことはかなり追及されます。
僕も最初のプロジェクトでチームメンバーから結論から話をして欲しいと言われたが、そんな基本的な話もできていないのかと大変ショックでした。普段から話す言葉、文脈は論理的思考含め話し方にも反映されていなければならないと思っています。
また、一般的なビジネスで必要な教養、特にビジネス用語は分からないことが多いと思います。
自衛隊の入隊者の多くは、高卒、大卒で入り、就職活動を経験してないひとが多いと思います。そうすると、一般的に必要なビジネススキルや広い業界知識がないです。日経新聞や普段からビジネスに関する情報収集を細かにしている場合は、世間の状況や業界、言語の理解もある程度あると思いますが、そうでないことが多いと思います。
入社後研修で、議事録を取るという研修がありましたが、テープを流して、「SIer」という言葉も分からず、タイピングスキルだけでなく、用語理解、知識がなく、ほとんど議事録が取れなかった経験があります。もちろん用語や基礎知識を知らなくて必ず落ちるということは無いと思いますが、教養やビジネスの共通言語はある程度知っておく必要があると思います。
ーーそうした意味で、面接でもビジネス用語の説明やビジネスの用語を交えてやるのでしょうか?
Bさん:もちろん交えてやることはあると思います。採用担当者も知っている知っていない判断で落とす軸ではないものの、知らなすぎると「違和感」を持たれます。「違和感」の積み重ねがあると落ちる可能性があるので、「違和感」をもたれないくらいのレベルで、たとえ第二新卒での挑戦であっても社会人としてみてもらうくらいの、最低限クリアするべきポイントは抑えた方が良いと思います。
ーー入社前と入社後のギャップについて教えてください。
Bさん:コンサルファームはもともと年収が高い分優秀な人たちが非常に集まっている理解はありましたが、それでも環境がこんなにも違うかという実感してます。とくにコンサルファームでも花形の戦略系は入社が半年でも違えば、到底自分が勝てそうな人は、一人もいないくらいのレベル感で、日々、周りに刺激を受けて仕事ができるのが最高です。平均年齢が比較的若いことから、若くても大型プロジェクトを任されていることが大変新鮮かつ刺激的という印象です。
確かに忙しいプロジェクトにアサインされれば、帰るのが午前様というケースもありますが、難易度が高く、文化や関わる人たちも多様な点が大変刺激や勉強になります。
成長するかはあとは自分次第なところがあるため、現状は比較的時間があるプロジェクトにアサインしているため、できるだけ本を読んで知見を高める努力もしています。
ーー参考になる書籍等あればよろしくお願いします。
社会人として抑えておくべき本
・イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」(安宅和人)
→「問題を解く」ということについて程よく具体的に学べる本、アウトプットイメージもわき、分かりやすく学べる
・「会社四季報」業界地図 2021年版(東洋経済新報社)
→あらゆる業界の有力企業が業界ごとに多数特集されている
新卒就活を経験していない防大卒は特にあらゆる企業を知る契機になる
コンサル志望として抑えておくと良い本
・コンサル一年目が学ぶこと(大石哲之)
→謎が多いコンサルの仕事のイメージがつく
・ITコンサルティングの基本(克元亮)
→ややもすれば定義もつけにくいITコンサルティングについて、
体系的に仕事の分類等がなされているためこれもイメージがつく
・新人エンジニアのためのインフラ入門(株式会社BFT)
→SEといえば開発、コーディングだとアプリ開発によりがちだが、
インフラという大事な、現場的な基礎事項を学べる
・企業参謀(大前健一)
→上記より固い内容だが、これもまた問題を解くとはどういうことか、
そして企業の課題を解決するとはどういうことかのエッセンスが学べる
コンサルという分野を超えた名著
その他参考になる本
・「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考(末永幸歩)
→アートという一見あやふやなものに対して、
その意義を言語化して理解するための下地になる入門書
適当なものなんかではなく、よくわからない抽象画にであっても
現代アートであっても、潜んでいる哲学を発見できる
ご参考になりましたら幸いです!
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