メンター相談#1
メンター・相談者
●相談者:Aさん 現在SES(System engineering service)の会社に勤務しているが、割り当てられている仕事内容について入社当初聞いていた業務内容と違い、プログラミングができる自社開発の会社へ転職しようか迷っており、転職を含めて今後のキャリアについて相談したい。
●メンター:Bさん プログラミング業界で約15年仕事をしており、業界の裏表を熟知している。
キャリア相談概要
Aさんは、SES(System engineering service)の会社に勤務し、大手通信の会社案件を対応。
ただ、元々描いていたキャリアのプログラミング担当ではなく、仕様書の作成やバグ探索テスト等を主な業務として行っていた。実稼働でプログラミングができるのは、2年半後と言われているが、果たしてこのままプログラミングの経験が積めないまま続けていいのか、もしくは自社開発のシステム会社に転職するべきか悩んでいる。
仕事で使用しないものの、大学の研究ではFORTRANで使って研究しており、現在は独学でPythonやRuby on railsを学んでいる。
●相談した内容
・今後のキャリアの進め方
・BさんのIT業界でのキャリアの作り方
・転職活動について
相談内容
ーー今後のキャリアの進め方
SESを選択したのは正解だと思います。ただ、この業界はしっかりと自分の先のキャリアを考えることが必要だと考えます。そのまま続けても月収30万円くらいはもらえると思いますが、自分がやりたいキャリアを考えないと同じ業務がずっと続いていく可能性が高いです。
IT業界は、まだまだ需要があるため、安定はしているものの、砂漠のようなキャリアの層があって、きちんとそこを登らないと、ずっとそこから上がることができない仕組みになっています。
なぜなら、社員一人一人がやりたい、格好いいと思えるような仕事はなかなか用意ができないからです。会社も生存するために、太く安全で(そしてだいたいはおもしろくはない)仕事をする必要もあります。
そのため、重要なことは、どんなキャリアのステップがあるのかを適切に掌握して、自分で情報収集しながら自らの足でキャリアを踏みしめていくことです。
ーーBさんのIT業界でのキャリアの作り方を教えてください
自衛隊を辞めた後、中小IT企業で、銀行員の業務を改善する小さなシステムを量産する仕事をSESとしてやっていました。
就業環境も良く、銀行データを集計して、拠点別の実績レポートを可能な限りシステマティックに作成していくような業務でしたが、貪欲に仕事を追い求めた結果、クライアントより業務内容を知るくらいになり、銀行を定時で上がってました。
時間効率が高まると、普通のサラリーマン生活は物足りなくなってきて、2年ほど迷ったのち、これからは自らお金を稼げるようになる必要があるという結論に行きつきました。
そこから東京で知り合った長野県の旅館オーナーと意気投合し、そしてまた自分で稼ぐ力を作るため、地方創生の思惑をもって長野に移住する決断をしました。ただ、これが大失敗で、地方は新しい考え、新しい行動をなかなか受け入れず、空回りしたまま手持ちの資金と精神がすり減っていきました。
それで、都市と田舎の人間のあまりの考え方のギャップに、挑戦をいったん止め、フリーランスのITエンジニアに戻り、東京にいたころと同じように安定したもとのエンジニア職に戻りました。
フリーランスへ立場を変えSESで同じように仕事をまわしていましたが、東京を離れてみて、良かったと感じるのは、結果的にフリーランスになれたことだと感じています。
フリーのエンジニアだと自分で案件を回せばサラリーマン時代の2倍は稼げます。サラリーマン時代は、明日のお金にも困るかもしれないフリーランスという働き方が怖かったが、思い切ってフリーの道にいくことで意外にチャンスがあることに気づいています。
かつてのキャリアの作り方をいわば「寄らば大樹」とするならば、これからの大樹は「沈む船」、これからの必須スキルは大手企業に入って安心することではなく、いつでもどこでも生きていけるような「ゲリラとしての自走力」であると感じています。
ーーこれから取得すべきスキルは?
プログラミング言語そのものは水モノなので、なかなかコレだ!と決めることできません(かつてCOBOLという言語が同じ目に合った)。プログラミング言語そのものに選択の正解はなく、その本質は日本語や英語と同じように「何語でしゃべるのか、ではなく何をどのように表現するのか」です。
そのため、自分で実力を示せる必要があります。エンジニアの実力の示し方は「どこに所属しているか」ではなく「なにを作れるのか」といった対外的に見せられるモノ(=ポートフォリオ)が良いと思います。
「目的をもって作品を作ることができること(=グリット力)」
こそが最大の説得力となる。
ーー転職活動について
SESよりは確かに自社開発企業が良い、ただし門は非常に狭いです。そのため、まずポートフォリオを持つことが強力な武器だと思います。
ただし、教科書に載っているようなものを真似して作っただけのような人と、こんな目的があって自分で考えて作ったという人が比べられれば、採用者としては当然後者を選びます。
Veteransを活用したアイディアをあげるとすれば、Veteransの開発メンバーを募ってチームとして対外公開可能な作品を作り出すようなことができれば採用者として放っておく道理はないですよね。
いずれにしても、作品の強みというものは「かつての自分が寝食を忘れて打ち込んだテーマ」にこそ宿ると思います。できれ、情熱を注いで取り組んだことをベースにポートフォリオを作り、その上で公開~フィードバック~ブラッシュアップまで磨くのが良いと思います。
ーーキャリアへの視点
まずは、自分が何をしたいのかを明らかにして、目標を立てないと、結果的にまったりと時間を過ごしていまい、そのまま時間は過ぎていきます。
自分をガイドする力が必要となってくる(または自分を引き上げてくれるチームを見つける、ということでも良い)。
自身の客観視が必要です。例えば、会社のなかでしか通用しないスキル、会社の外でも使えるスキルはしっかり分けて、外で使えるスキルをしっかり醸成させていく。
そんなポータブルなスキルが、例えば「チームビルド」だったり「ゼロイチ立ち上げスキル」だったりしますよね。
キャリア相談を行っての感想
サラリーマンは、しっかり会社に言われたことをしなくてはいけないという立場と考えていたため、今まで窮屈に考えていたものの、もっと自分がやりたいことをやっていいといことに気付けました。
転職ありきと考えていて、自社開発への転職が目的になっていましたが、ただ、Bさんの話を聞いてITスキルはあくまででツールなので、自分が何をやりたいのか明確にし、仕事という枠だけに囚われずITを活用して自己実現をしていきたいと前向きな気持ちになりました。
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